Q1「相続登記はいつまでにしなければならないの?」
~Aさんの悩み~
「一昨年前に父が他界し,自宅の相続登記(名義変更)をしていません。先日,親戚に,「相続登記をしておかないと,後々面倒になり,お金がかかるぞ。」と言われましたが,直ぐに手続をとらなければならないのでしょうか。」
~当職の回答~
まず,相続登記は,法律上,期限を定められていませんので,そのまま放置していても何の罰則はありません。
しかし,相続が発生して,自宅を取得したにもかかわらず,相続登記をしておかないと,将来,自分が亡くなった場合,あるいは自分の兄弟姉妹が亡くなった場合には,利害関係人(相続人,代襲相続人など)が増えることになり,トラブルが発生することがあります。また,利害関係人が多岐にわたると,手間と時間がかかる可能性があり,場合によっては話がまとまらず,必要な書類が整わず,登記ができない,そして最終的には「裁判」になるといったケースも少なくありません。
さらに,亡き父の相続財産である不動産を売却して処分する(=お金に換える)場合は,一旦,相続登記が必要ですので,もし,早急に売却が迫られたとしても,相続登記ができなければ売却手続がとれないため,話が一向に解決しないという危険性もあります。ですから,将来のため,自分の子どもたちのためにも,早めに手続をとられることをお勧めします。
《参考》
このようなケースでは,予め「遺言(自筆証書遺言など)」を残しておくと,相続人間のトラブルを防ぐこともできます。「遺言」と聞くと懸念される方も多いと思いますが,「私の家には関係ない話」,「遺産と言っても不動産しかないから」という一般的な家庭にこそ“争続”が発生しています。このことも踏まえ,事例に応じた対策をとられることをお勧めします。
《相続登記に必要となる書類一覧》
被相続人(亡くなった方)
ア:出生から死亡までの戸籍・除籍謄本 各1通
イ:除住民票(本籍記載のあるもの)又は 戸籍の附票抄本 1通
ウ:名寄帳(固定資産税台帳)写し 又は 課税明細書 1通
相続人の皆様全員について
ア:現在の戸籍抄本 各1通
イ:印鑑証明書 各1通
ウ:住民票 1通
戸籍抄本と印鑑証明書を同じ役場で取得できるとは限りません。
戸籍は本籍地のある市町村役場
印鑑証明書は住所地のある市町村役場
で取得できます。